リボンや三つ編みといったロマンティックなアレンジ、ディテールが光るモダンなミディヘアやボブ、温もりのあるブロンドに多彩なカッパーなど、遊び心あふれるスタイリングや個性的なカットとカラーが次々とトレンドに浮上した2023年。大胆なイメージチェンジも珍しくない1年となったが、2024年に注目すべきは昨年の逆を行く「レス・イズ・モア」に則った、髪の健康を気遣ったヘアトレンドだ。
「“スラッギング”やヘアマスクでまとめるお団子ヘアなど、傷んだ髪を修復するのに効果的なスタイルをよく見かけるようになりました」と話すのは、ヘアスタイリストのイリネル・デ・レオン。「髪の健康を重視する動きも出てきていて、健やかな髪を保つのに役立つ上質なヘアツールに投資する人がますます増えています」
そしてカラーも自然なトーンがカムバックする予感が。今年はどこまでも「シンプルな良さ」と「髪をいたわる」ことがヘアトレンドの一貫したテーマになりそうだ。
1. 自然に魅せるナチュラルカラー
ブロンドやカッパーなど、劇的なヘア・トランスフォメーションが叶うカラーが2023年は人気だったが、2024年のヘアカラーは温かみのあるナチュラルなトーンに回帰。「私のクライアントや友人の多くも、自然なカラーか地毛に近い色に戻しています」と言うヘアスタイリストのグレゴリー・ラッセル。それもあってか、さりげないバレイヤージュも注目を集めているのだそう。そしてカラー問わず、肝心なのは「ローメンテナンス」な色味にすることだとヘアスタイリストのレナ・カルフーンは付け加える。
2. 飾らないミディアムヘア
レイヤー重視のスタイル、モダンなマレットヘア、ブラントボブなど、肩より少し上のショートカットが昨年に引き続きトレンドインすることが予想されているが、2024年はミディアムヘアもブームになるとデ・レオンは言う。程よい重みがあるミディアムレングスの髪型は最小限のスタイリングで決まるので、ロングに比べると手がかからず、健康的な髪へと導いてくれる。
3. カットの個性が光る、ミニマルなスタイリング
カットであれ、メンテナンスであれ、今年のヘアには「ミニマル」な流れが来ている。ラッセルも「ミニマリズムと、よりパーソナライズされたカット」が2024年を席巻すると予想していて、注目すべきはエフォートレスなルック作りに最適なシンプルでシックなスタイルだそう。
4. 頭皮から毛先まで意識したトータルヘアケア
2024年は、いわばヘアケアの年。根元から毛先までしっかりとお手入れをし、基本に立ち返って健康的な美髪を目指すのもトレンドのひとつになりそうだ。そのため、髪に優しいスタイリングに加えて、頭皮ケアへの関心も高まるとヘアスタイリストのレイシー・レッドウェイは予想。優れたスタイリング製品は毎日のアレンジを楽にしてくれるが、使い続けると頭皮に蓄積して毛穴詰まりを引き起こすこともあると彼女は説明する。「もっと頭皮の健康に目を向けるべきです」と続けた。
カルフーンも髪を健康的な状態に保つことの大切さを強調していて、ヘアケアを重視したからといって、おしゃれを犠牲にする必要はないと指摘する。ラッセルもまた同じ意見で、最近ではさまざまな技術や製品が数多くあり、ヘアアイロンやホットカーラーなどといった加熱式のスタイリングツールなしでも髪の質感や形を自由に操れると言う。「ポイントは保湿を優先し、できるだけ熱を加えずに髪をスタイリングする方法を学ぶことです」
5. フレッシュに咲く、フローラルアクセサリー
2023年の注目ヘアアクセサリーはリボンだったが、今年はリアルな花を取り入れたロマンティックなスタイリングが粋。発案者はクリスチャン・シリアノ(CHRISTIAN SIRIANO)の2024年春夏コレクションのリボンをふんだんにあしらったルックを作ったレッドウェイ。昨年3月にはすでにテッサ・トンプソンのために、本物のバラを使ったコーンロウならぬ“コーンローズ”ヘアスタイルをデザインした彼女は、徐々にだが、花がヘアアクセとして本格的にトレンド入りし始めていると言う。「ルネッサンスヘア」のファンタジー感とコケティッシュなテイストだけでなく、無限のアレンジが楽しめるアクセサリーだ。
Text: Calin Van Paris Adaptation: Anzu Kawano
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